落語『紺屋高尾』あらすじからサゲまで!用語の意味も!

『紺屋高尾』の紹介 廓話の傑作、「紺屋高尾(こうやたかお)」。 職人久三が、吉原遊廓でNo.1の三浦屋の高尾太夫に捧げる正直な純愛の気持ちが、高尾太夫の心を動かすという、逆シンデレラストーリー。 全盛と呼ばれた吉原随一の高尾太夫に一目惚れしてしまった紺屋の職人久三。 一所懸命に働いてなんとかお金を貯めて会いにいくという話です。 もともとは浪曲で大ヒットしていたお話のようで。三遊亭圓生が得意としたといわれています。 七代目立川談志も得意とし、一門がよく演じています。なかでも立川談春の高座は、独自のエピソード ...

太宰治『走れメロス』メロスの人物像からディオニスの改心の意味まで!

『走れメロス』紹介 『走れメロス』は太宰治著の短編小説で、1940年『新潮』5月号に掲載されました。 本作は国語の教科書に採用されていることから、太宰の著書の中でもっとも知名度の高い作品のひとつといえます。 人質となった友人の信頼に報いるため、命がけで処刑場への帰還をめざす実直で勇敢な男、メロスの姿を描いた、著者の作品群では異色ともいうべき爽やかさを感じさせる作品です。 ここでは、『走れメロス』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『走れメロス』あらすじ メロスは、妹の結婚式の買い出しに訪れたシクラ ...

森鴎外『山椒大夫』原典『さんせい大夫』との違いも!

『山椒大夫』の紹介 『山椒大夫』は、1915年(大正4年)1月、『中央公論』にて発表された森鷗外の短編小説です。 中世から近世にかけて、説経節や浄瑠璃などの形で語られてきた安寿と厨子王の伝説に基づく内容です。 ここでは、そんな『山椒大夫』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『山椒大夫』—あらすじ 14歳の姉・安寿と、12歳の弟・厨子王は、筑紫へ渡って行方不明になった父を探すため、母に連れられて旅をしていました。 道中、人買いに騙された親子は、海上で引き離され、別々の場所へ売られてしまいます。 丹後 ...

森鴎外『最後の一句』テーマから用語解説まで!

『最後の一句』の紹介 『最後の一句』は、1915年(大正4年)10月、『中央公論』に発表された森鷗外の短編小説です。 江戸時代後期の文人・太田南畝の『一話一言』を原拠として、鷗外による〈歴史離れ〉の脚色が加えられた作品として知られています。 ここでは、そんな『最後の一句』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『最後の一句』—あらすじ 元文三年、大阪で、船乗り業桂屋太郎兵衛を斬罪に処すとの達しがありました。 船主の太郎兵衛は、新七という男を船長に任じて運送業を営んでいましたが、新七の不正が原因で二年前 ...

太宰治『女の決闘』あらすじ!原作との違いとは?

『女の決闘』紹介 『女の決闘』は太宰治著の小説で、1940年『月刊文章』に掲載されました。 本作は『鴎外全集』に収録された十九世紀、ドイツの作家·ヘルベルト·オイレンベルグの『女の決闘』という短編を、作者(太宰)が作中で注釈を加えつつ改変してゆくという珍しい構成の小説です。 鴎外の訳文がそのまま全文採用され、その途中に太宰の注釈と追加描写が差し込まれています。 ここでは、『女の決闘』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『女の決闘』あらすじ 鴎外全集を手にした作者(太宰)が、これから十九世紀のドイツ ...

太宰治『新ハムレット』ラストシーンの台詞の真意とは?

『新ハムレット』紹介 『新ハムレット』は太宰治著の小説で、1941年、著者にとって初の書き下ろし長編小説として文藝春秋社より刊行されました。 本作は題名の通り、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』を原案として創作された戯曲風のパロディ小説です。 「はしがき」の中で著者自ら、本作は「註釈書でもなし、または、新解釈の書でも決してない」「作者の勝手な、創造の遊戯に過ぎない」と言及しており、実際に物語の展開については原作とかけ離れた部分が多々見られます。 ここでは、『新ハムレット』のあらすじ·解説·感想までをまとめ ...

太宰治『乞食学生』数々の詩や戯曲からの引用の意味とは?

『乞食学生』紹介 『乞食学生』は太宰治著の小説で、1940年7月号~12月号にかけて雑誌『若草』に連載されました。 本作は、職業作家としての苦悩を抱えた男が二人の学生との出会いを通じて、過ぎ去った青春の気分を取り戻す物語です。 主人公は、太宰というペンネームであるほか著者自身との類似点が多いものの、本名は創作されていたり、いわゆる夢オチの結末であったり、フィクションとしての要素も多く見られます。 ここでは、『乞食学生』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『乞食学生』あらすじ 気力もなく土手を歩いて ...

落語『船徳』あらすじ&サゲ!笑いどころ満載の人気演目

『船徳』の紹介 「船徳」は古典落語の傑作の一つ。 人情噺「お初徳兵衛」という大ネタの発端部分を、明治期に活躍した初代三遊亭圓遊が一席の滑稽噺に改作しました。 その後、八代目桂文楽が人物描写を工夫し派手な演出を取り入れるなど独自の噺に磨きあげたものが、現在演じられている「船徳」の基本的な型となっています。 遊びが過ぎた若旦那の徳さんがあこがれの船頭になったものの、まだ舟を満足に操れないのに客を乗せて船頭を務めるという無謀・無責任きわまりない振る舞いをしてしまいます。 言うなれば、無免許ドライバー同様の“えせ ...

落語『大山詣り』あらすじ&サゲを解説!江戸時代から演じられている大ネタ

『大山詣り』の紹介 「大山詣り」は落語の名作の一つ。 狂言の演目(「六人僧」など)にヒントを得て作られた落語で、江戸時代から演じられている滑稽噺です。 大山詣りは江戸の庶民にとって年中行事のように大切なイベントでした。 特に、大山に詣でた後の観光や宴会が皆のお目当て。 こういった時には気持ちが緩んで羽目を外したくなるもの。 ついに起こってほしくない騒動が勃発し、そこからドタバタの悲喜劇が繰り広げられます。 「大山詣り」は長い年月をかけて多くの演者によって練りこまれてきた形跡があり、登場人物が多く場面が次々 ...

太宰治『清貧譚』原作『聊齋志異』との違いを詳しく紹介!

『清貧譚』紹介 『清貧譚』は太宰治著の短編小説で、1941年1月号の雑誌『新潮』に掲載されました。 本作は、中国·清の時代の怪異短編集『聊齋志異』の中の「黄英」という作品を翻案したものです。 原作から大筋は改変されていないものの、細部の描写には太宰なりの工夫が多く見られます。 ここでは、『清貧譚』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『清貧譚』あらすじ 菊を愛し、清貧を重んじる馬山才之助は、旅の帰路、菊に詳しい少年·陶本三郎とその姉·黄英に出逢い、二人を家に招きます。 三郎は枯れかけた菊をも蘇らせる ...

太宰治『走れメロス』メロスの人物像からディオニスの改心の意味まで!

『走れメロス』紹介 『走れメロス』は太宰治著の短編小説で、1940年『新潮』5月号に掲載されました。 本作は国語の教科書に採用されていることから、太宰の著書の中でもっとも知名度の高い作品のひとつといえます。 人質となった友人の信頼に報いるため、命がけで処刑場への帰還をめざす実直で勇敢な男、メロスの姿を描いた、著者の作品群では異色ともいうべき爽やかさを感じさせる作品です。 ここでは、『走れメロス』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『走れメロス』あらすじ メロスは、妹の結婚式の買い出しに訪れたシクラ ...

森鴎外『山椒大夫』原典『さんせい大夫』との違いも!

『山椒大夫』の紹介 『山椒大夫』は、1915年(大正4年)1月、『中央公論』にて発表された森鷗外の短編小説です。 中世から近世にかけて、説経節や浄瑠璃などの形で語られてきた安寿と厨子王の伝説に基づく内容です。 ここでは、そんな『山椒大夫』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『山椒大夫』—あらすじ 14歳の姉・安寿と、12歳の弟・厨子王は、筑紫へ渡って行方不明になった父を探すため、母に連れられて旅をしていました。 道中、人買いに騙された親子は、海上で引き離され、別々の場所へ売られてしまいます。 丹後 ...

森鴎外『最後の一句』テーマから用語解説まで!

『最後の一句』の紹介 『最後の一句』は、1915年(大正4年)10月、『中央公論』に発表された森鷗外の短編小説です。 江戸時代後期の文人・太田南畝の『一話一言』を原拠として、鷗外による〈歴史離れ〉の脚色が加えられた作品として知られています。 ここでは、そんな『最後の一句』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『最後の一句』—あらすじ 元文三年、大阪で、船乗り業桂屋太郎兵衛を斬罪に処すとの達しがありました。 船主の太郎兵衛は、新七という男を船長に任じて運送業を営んでいましたが、新七の不正が原因で二年前 ...

太宰治『女の決闘』あらすじ!原作との違いとは?

『女の決闘』紹介 『女の決闘』は太宰治著の小説で、1940年『月刊文章』に掲載されました。 本作は『鴎外全集』に収録された十九世紀、ドイツの作家·ヘルベルト·オイレンベルグの『女の決闘』という短編を、作者(太宰)が作中で注釈を加えつつ改変してゆくという珍しい構成の小説です。 鴎外の訳文がそのまま全文採用され、その途中に太宰の注釈と追加描写が差し込まれています。 ここでは、『女の決闘』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『女の決闘』あらすじ 鴎外全集を手にした作者(太宰)が、これから十九世紀のドイツ ...

太宰治『新ハムレット』ラストシーンの台詞の真意とは?

『新ハムレット』紹介 『新ハムレット』は太宰治著の小説で、1941年、著者にとって初の書き下ろし長編小説として文藝春秋社より刊行されました。 本作は題名の通り、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』を原案として創作された戯曲風のパロディ小説です。 「はしがき」の中で著者自ら、本作は「註釈書でもなし、または、新解釈の書でも決してない」「作者の勝手な、創造の遊戯に過ぎない」と言及しており、実際に物語の展開については原作とかけ離れた部分が多々見られます。 ここでは、『新ハムレット』のあらすじ·解説·感想までをまとめ ...

太宰治『乞食学生』数々の詩や戯曲からの引用の意味とは?

『乞食学生』紹介 『乞食学生』は太宰治著の小説で、1940年7月号~12月号にかけて雑誌『若草』に連載されました。 本作は、職業作家としての苦悩を抱えた男が二人の学生との出会いを通じて、過ぎ去った青春の気分を取り戻す物語です。 主人公は、太宰というペンネームであるほか著者自身との類似点が多いものの、本名は創作されていたり、いわゆる夢オチの結末であったり、フィクションとしての要素も多く見られます。 ここでは、『乞食学生』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『乞食学生』あらすじ 気力もなく土手を歩いて ...

太宰治『清貧譚』原作『聊齋志異』との違いを詳しく紹介!

『清貧譚』紹介 『清貧譚』は太宰治著の短編小説で、1941年1月号の雑誌『新潮』に掲載されました。 本作は、中国·清の時代の怪異短編集『聊齋志異』の中の「黄英」という作品を翻案したものです。 原作から大筋は改変されていないものの、細部の描写には太宰なりの工夫が多く見られます。 ここでは、『清貧譚』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『清貧譚』あらすじ 菊を愛し、清貧を重んじる馬山才之助は、旅の帰路、菊に詳しい少年·陶本三郎とその姉·黄英に出逢い、二人を家に招きます。 三郎は枯れかけた菊をも蘇らせる ...

太宰治『畜犬談』ラストシーンで私が橋をこえた理由とは?

『畜犬談』紹介 『畜犬談』は太宰治著の短編小説で、1939年10月号の雑誌『文学者』に掲載されました。 副題には「―伊馬鵜平君に与える。」とあり、太宰の無二の親友であった作家・伊馬春部氏に送られています。 これは作中に登場する、猛犬に噛み付かれた「友人」が伊馬氏をモデルとしているからと思われます。 犬を猛獣といって恐怖し、その卑しさを毛嫌いしているにも関わらず、たまたま家まで着いてきてしまった犬を養うこととなってしまった「私」の日常を描いた作品です。 ここでは、『畜犬談』のあらすじ・解説・感想までをまとめ ...

太宰治『富嶽百景』草木のモチーフから紐解く太宰の心情!

『富嶽百景』紹介 『富嶽百景』は太宰治著の短編小説で、1939年2月号〜3月号にかけて雑誌『文体』に掲載されました。 太宰自身の実体験に基づいて描かれており、随筆、あるいは私小説としても読める作品です。 長編執筆のため、富士観望の名所としても知られる御坂峠に逗留して過ごした約3ヶ月間の様子が、あらゆる富士の姿とともに描かれています。 ここでは、『富嶽百景』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『富嶽百景』あらすじ 私生活の乱れていた「私」は心機一転すべく、師・井伏鱒二の逗留する御坂峠の天下茶屋に身を ...

太宰治『グッド・バイ』太宰が真に描きたかったものとは?

『グッド・バイ』紹介 『グッド・バイ』は太宰治著の小説で、未完のまま絶筆となった作品です。 太宰の死から8日後、1948年6月21日の『朝日新聞』に第1回が掲載され、翌月の『朝日評論』にて第13回までの原稿と、作者の言葉がまとめて掲載されました。 主人公・田島が、かつぎ屋・キヌ子に振り回されつつ、十人ほどの愛人一人ひとりに別れを告げてまわる様子をコメディ調で描いた作品です。 ここでは、『グッド・バイ』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『グッド・バイ』あらすじ 田島周二は、終戦後、妻子と離れて単身 ...

樋口一葉ってどんな人?|一葉館から旧居跡まで、その生活と創作の舞台を訪ねる

樋口一葉ゆかりの地、全14箇所を巡りました。その作品と生涯を、写真とともにお伝えします。萩の舎跡、菊坂下の旧居、一葉記念館。樋口家が通った伊勢屋質店や、「たけくらべ」ラストシーンの鷲神社まで。前編・後編に分けて写真とともにお伝えします。前編では、東京大学前の本郷・小石川・西片・白山を訪れました。

落語「中村仲蔵」あらすじ&開運スポット|〜柳島・亀戸を訪れる文学散歩〜

現代も語られる落語「中村仲蔵」。歌舞伎役者のお話です。彼がお参りしたのは柳島の妙見(みょうけん)様。そのご利益か、見事に生み出した役の演出で、後世に響く名を上げました。その名は中村仲蔵(1736-1790)。実在の人物です。彼の役者人生における成功譚は、明治時代には落語となって語られました。本日は、その舞台である妙見様と柳島を巡ります。

三遊亭円朝「怪談牡丹灯籠」の舞台をめぐる|〜谷中・根津と飯田橋〜

三遊亭円朝(1939-1900)は、落語家として知る人ぞ知る名人です。その芸風は、客を笑わせる滑稽噺よりも、人情噺や怪談という講談に近いかたちで築かれた独自の世界でした。そんな円朝が、中国に伝わる怪談や江戸のお旗本で聞いたお家騒動などをもとに創作したのが「牡丹灯籠」です。今日は「牡丹灯籠」をめぐる谷中根津散歩をいたしましょう。

寺田寅彦と銀座ぶらり|『銀座アルプス』の文章を辿る

寺田寅彦は大正12年(1923年)に起きた関東大震災を体験し、地震学、防災学に力を入れた学者でした。そして科学者としての視点から、さまざまな文章を発表しています。なかでも「銀座アルプス(1933年)」は銀座を愛した寅彦のエッセイです。今日はこの文章をたどって銀ブラをいたしましょう。

谷崎潤一郎と倚松庵|『細雪』の舞台訪問記

この記事では、谷崎潤一郎ファンにぜひ訪れていただきたい「細雪」ゆかりの場所、倚松庵について写真付きで詳しくご紹介します。倚松庵は、文豪・谷崎潤一郎が1936年(昭和11年)の50歳の時から1943年(昭和18年)の57歳の時まで居住した家で、谷崎の三番目の妻である松子とその妹たちをモデルとした小説「細雪」の舞台となりました。

内田百閒と番町界隈|番町最初の居住地から三畳御殿まで

内田百閒と番町界隈についてまとめました。内田百閒が歩いた場所から番町で初めて住んだ居住地まで、写真とともにお届けします。90年前の百閒は省線電車に乗って東京駅へ通勤、日本郵船に勤務していました。通勤の最寄り駅は四ツ谷駅でした。

【東京】文豪の愛したスイーツ&カフェ6選!実際に全部食べてみたレビュー

東京にある文豪が愛したカフェ&スイーツ6選を写真付きでレビューします!やはり創業100年200年の歴史ある老舗が多いですね。団子にもなか、くず餅、アイス、お汁粉。どれもこれも美味しくて、外れはありませんでした。東京に行った際は、ぜひとも文豪に思いを馳せながら、同じスイーツを味わってみてはいかがでしょうか。

落語『紺屋高尾』あらすじからサゲまで!用語の意味も!

『紺屋高尾』の紹介 廓話の傑作、「紺屋高尾(こうやたかお)」。 職人久三が、吉原遊廓でNo.1の三浦屋の高尾太夫に捧げる正直な純愛の気持ちが、高尾太夫の心を動かすという、逆シンデレラストーリー。 全盛と呼ばれた吉原随一の高尾太夫に一目惚れしてしまった紺屋の職人久三。 一所懸命に働いてなんとかお金を貯めて会いにいくという話です。 もともとは浪曲で大ヒットしていたお話のようで。三遊亭圓生が得意としたといわれています。 七代目立川談志も得意とし、一門がよく演じています。なかでも立川談春の高座は、独自のエピソード ...

落語『船徳』あらすじ&サゲ!笑いどころ満載の人気演目

『船徳』の紹介 「船徳」は古典落語の傑作の一つ。 人情噺「お初徳兵衛」という大ネタの発端部分を、明治期に活躍した初代三遊亭圓遊が一席の滑稽噺に改作しました。 その後、八代目桂文楽が人物描写を工夫し派手な演出を取り入れるなど独自の噺に磨きあげたものが、現在演じられている「船徳」の基本的な型となっています。 遊びが過ぎた若旦那の徳さんがあこがれの船頭になったものの、まだ舟を満足に操れないのに客を乗せて船頭を務めるという無謀・無責任きわまりない振る舞いをしてしまいます。 言うなれば、無免許ドライバー同様の“えせ ...

落語『大山詣り』あらすじ&サゲを解説!江戸時代から演じられている大ネタ

『大山詣り』の紹介 「大山詣り」は落語の名作の一つ。 狂言の演目(「六人僧」など)にヒントを得て作られた落語で、江戸時代から演じられている滑稽噺です。 大山詣りは江戸の庶民にとって年中行事のように大切なイベントでした。 特に、大山に詣でた後の観光や宴会が皆のお目当て。 こういった時には気持ちが緩んで羽目を外したくなるもの。 ついに起こってほしくない騒動が勃発し、そこからドタバタの悲喜劇が繰り広げられます。 「大山詣り」は長い年月をかけて多くの演者によって練りこまれてきた形跡があり、登場人物が多く場面が次々 ...

落語『出来心』あらすじからサゲまで!花色もめんや博多帯とは?

『出来心』の紹介 『出来心』は古典落語の演目の一つ。 江戸・上方とも演じられる演目ですが、東京ではサゲによって『出来心』『花色木綿』と演目名が変わります。上方は『花色木綿』と言われることが多い噺です。 元話は文化5年に刊行された十返舎一九『江戸前噺鰻』所載の「ぬす人」。 ここでは、『出来心』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『出来心』ーあらすじ 石川五右衛門やねずみ小僧など有名な泥棒は手際よく盗みに入りましたが、落語に出てくる泥棒は間抜けな泥棒が多いようで・・・ 「親分、およびですか?」 「ああ ...

落語『平林』あらすじ!噺家によるサゲの違いまで!

『平林』の紹介 『平林』は古典落語の演目の一つ。『字違い』『名違い』という題名で演じられることもあります。 東京でも大阪でも演じられる噺ですが、江戸落語では『ひらばやし』上方落語では『たいらばやし』として演じられることが多い演目。 江戸落語では平河町、上方落語では本町が舞台です。 10分程度の短い演目ですが、多くのくすぐりが入っていて噺のテンポもよく、前座噺としても知られています。 ここでは、『平林』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『平林』ーあらすじ 舞台は江戸時代。寺子屋で読み書きそろばんは ...

落語『崇徳院』あらすじ!男女の恋煩いを発端とする滑稽噺

『崇徳院』の紹介 『崇徳院』は古典落語の名作の一つ。江戸時代後期に活躍した初代桂文治の作といわれています。 もとは上方の噺でしたが、今は東西を通じて高座にかけられています。 この噺を得意にしていた三代目桂三木助が随所に頓智を取り入れるなど、現在東京で演じられている型に練りあげました。 崇徳院の和歌を題材にして、商家の若い男女の恋煩いを発端とするストーリーが展開される楽しい噺です。 滑稽な会話が次から次へと続き、顎が外れるほど笑えます。 ここでは、「崇徳院」のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『崇徳 ...

落語『皿屋敷』あらすじ!おきくがサゲに出てくる滑稽噺

『皿屋敷』の紹介 『皿屋敷』は古典落語の演目の一つ。『お菊の皿』という題名で演じられることもあります。 歌舞伎、浄瑠璃、講談でも演じられている怪談話ですが、落語ではお菊さんがサゲに出てくる滑稽噺です。 元は播州姫路(兵庫県姫路市)が舞台の上方落語だと言われていますが、江戸の番町皿屋敷が播州皿屋敷、になったとも言われています。 ここでは、『皿屋敷』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『皿屋敷』ーあらすじ 舞台は江戸時代の播州姫路。 姫路城城主に仕える家臣の一人に青山鉄山(あおやまてっさん)というお侍 ...

『厩火事』あらすじ&サゲを解説!夫婦の人情の機微を描きだした味わい深い演目

『厩火事』は古典落語の名作の一つで、夫婦の人情の機微を描きだした味わい深い演目です。古典落語には珍しく働く女性が主人公のお話しで、男女共働きが普通になった現代にも受け入れられやすいストーリー展開となっています。ここでは、「厩火事」のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

落語『牛ほめ』あらすじ&サゲのかけ言葉を解説!

『牛ほめ』は古典落語の一つ。
原話は、貞享4年(1687年)に出版された笑話本・『はなし大全』の一遍である「火除けの札」。元々は「池田の牛ほめ」という上方落語の演目で、主な演者に5代目春風亭柳昇や4代目春風亭柳好、春風亭一朝、上方の4代目桂文我などがいます。ここでは、『子ほめ』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

落語『粗忽長屋』あらすじからオチまでを紹介!金龍山浅草寺と吉原って関係あるの?

『粗忽長屋(そこつながや)』は江戸落語の演目の一つです。粗忽者が出てくる落語のなかでも、演じるのが難しいといわれていますが、ほとんどの落語家が演じている演目です。ここではそんな『粗忽長屋』のあらすじ&オチまでを解説します。

夏目漱石

夏目漱石『坑夫』作品の特徴からあらすじまで!『虞美人草』との関係も

『坑夫』は、自暴自棄になって家を飛び出した良家の青年が、誘われるまま坑夫になるべく、鉱山の坑内へと降りていく様を描いた作品です。。明治40年に発表された『虞美人草』の次の作品であり、漱石が職業作家として執筆した二作目にあたります。ここでは、そんな『坑夫』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

『夢十夜』「第八夜」|「床屋」「白い男」の象徴とは?

『夢十夜』は夏目漱石著の短編小説で、明治41年から朝日新聞で連載されました。第八夜では、何かを暗示しているようなものが次々と登場し、不思議で奇妙な感じに拍車がかかっています。ここでは、そんな『夢十夜』第八夜のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

『夢十夜』「第十夜」庄太郎の人物像から「女」と「豚の群れ」の正体まで!

『夢十夜』は夏目漱石著の短編小説で、明治41年から朝日新聞で連載されました。第十夜は、『夢十夜』の最後の夢の話です。庄太郎や豚の群れなどが登場します。ここでは、『夢十夜』第十夜のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

芥川龍之介

芥川龍之介『邪宗門』若殿様と大殿様の対比表現について

『邪宗門』は芥川龍之介の中編小説で、『地獄変』と同じ語り手によって物語が進んでいきます。読んでみて驚かれる方が多いかと思いますが、実はこの作品、未完成のまま終わってしまっているのです。ここでは、そんな『邪宗門』あらすじ・解説・感想までをまとめてみました。

芥川龍之介『地獄変』大殿様と良秀から考える伝えたかったこと

芥川龍之介『地獄変』のあらすじ・解説・感想です。「私」の語りや良秀の独り言、作者の伝えたかったことまでをまとめました。芥川龍之介と言えば『羅生門』や『藪の中』が有名ですが、『地獄変』は芥川作品のなかでも、かなり衝撃的な展開を迎える小説です。

芥川龍之介『奉教人の死』あらすじ&解説!キリシタンものの代表作

芥川龍之介『奉教人の死』あらすじ・解説・感想記事です。作品の出典から、傘屋の娘についてまでをまとめました。芥川には、切支丹物(キリシタンもの)と呼ばれる作品群があります。キリスト教に関するテーマの作品です。