現役書店員の私がすすめる!カフェ・喫茶店にまつわる小説20選!

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現役書店員の私がすすめる!カフェ・喫茶店にまつわる小説20選!

東莉央(書店員)
こんにちは!私は小説を読むのがだいすきな書店員です。そしてカフェや喫茶店もだいすきです!

こちらは書店員の私が、自宅で豆から淹れたコーヒーを飲みながらとても楽しく書いた紹介記事。

今回はカフェや喫茶店にまつわる小説をご紹介します。

読んだらあなたをきっとどんな気持ちにしてくれるかを併せて紹介しています。

ぜひ、どんな気分になりたいかを元に、選書の参考にしてみてみてくださいね。

1『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和さん著

出版社 サンマーク出版
出版日 2015年12月4日
ページ数 348ページ
読後の気分は? じっくりコーヒーを楽しみたい

小説の舞台はフニクリフニクラ。
時間を巻き戻すことができると噂の喫茶店でした。

言い逃してしまった言葉や、訂正したい言葉。
そしてあの時もし違う選択をしていたらという後悔など。
もし違う道を歩んでいたらという、もうひとつの人生を追体験してみることができます。
感涙必死の4編収録。シリーズ全4巻で好評発売中です。

東莉央(書店員)
コーヒーや喫茶店が好きな人は、きっとメニューのおいしさだけの他にも注目している部分があるのではないでしょうか。 お店の内装や、食器の美しさ。盛り付けなどです。 その性をよく理解して書かれた小説です。 過去に戻るために重要になるのが1杯のコーヒー。 そのコーヒーや、コーヒーを入れるための器具の描写がとても丁寧に書かれています。 黒い液体の上に立ち上る湯気。 細口のコーヒーケトル。 読者は丁寧な喫茶店描写にきっとうっとりすることでしょう。

2『木曜日にはココアを』青山美智子さん著

出版社 宝島社
出版日 2017年8月26日
ページ数 217ページ
読後の気分は? あたたかくやさしい気持ちに

毎週木曜日に来店してココアを頼み、お手紙を書いている女性。
ひっそり喫茶店のカウンターから様子を伺うマスター。

マーブルカフェのふたりをスタートに、たくさんの人が出会っていきます。
東京とオーストラリアを繋ぐ連作短編集です。

東莉央(書店員)
甘くてあたたかいココアを飲みながら読むのをおすすめします。 しあわせのバトンリレーの様子は、なんて素敵なのでしょう。 目の前の大切な人をきちんと大切にして、時に目の前で困っている人を見つけたら手を差し伸べる。 それができる人がたくさんいれば、マーブルカフェの物語は現実のものとなるでしょう。

3『マカン・マラン』古内一絵さん著

出版社 中央公論新社
出版日 2015年11月25日
ページ数 263ページ
読後の気分は? お野菜が食べたくなる

23時の夜食カフェ。
やさしい明かりが開店の目印のマカン・マランでは、お野菜たっぷりの食事をいただくことができます。

アーユルヴェーダの知識に基づいて作られたメニューたち。
きっと読者のあなたのことも、元気にしてくれます。

東莉央(書店員)
4冊からなるシリーズです。 栄養満点のあたたかいお料理を毎日用意することは、そう簡単なことではありません。 マカン・マランでは、ちょっぴり傷ついて泣きたい気分のお客さんを歓迎してくれます。 元気が出ない時、お薬や西洋医学ではなくてアーユルヴェーダという古来の知恵をお借りしてみるのもいいかもしれませんね。

4『最高のアフタヌーンティーの作り方』古内一絵さん著

出版社 中央公論新社
出版日 2021年4月19日
ページ数 271ページ
読後の気分は? ホテルに食事に行きたくなる

『マカン・マラン』シリーズとほんのちょっぴり、登場人物がリンクしている物語。
カフェラウンジでのアフタヌーンティーにまつわる長編小説です。

老舗ホテルのラウンジで働くスタッフたちが主な登場人物。
お客様をもてなすプロたちの熱いぶつかり合いが、ナイスなアイデアを生み出します。

東莉央(書店員)
5000円〜10000円が相場でしょうか。 ホテルのアフタヌーンティー。 それは3段のお皿に華やかに載せられたお菓子やセイボリーを楽しむリッチなひと時です。 高級だからといって肩を張ってやって来る必要はありません。 楽しいひと時を過ごすこと。 それが何より大事なのだとほっとしました。

5『洋菓子店コアンドル』村上桃子さん著

出版社 泰文堂
出版日 2011年3月1日
ページ数 235ページ
読後の気分は? 洋菓子屋さんでケーキを買いたくなる

舞台はカフェスペース併設の洋菓子店。
ケーキが食べたいと思った時に、コンビニやスーパーでなくて洋菓子店の門を叩く人はどれくらいの割合でしょうか。
主人公は都会慣れしていない少女のような女性です。

お菓子が大好きで、大きな夢をみて修行に出てきました。
彼女には厳しい現実が立ちはだかります。

東莉央(書店員)
様々なものが上から下まで値段がつけられるようになってきた現代。 より「プロの味」水準が上がっているとは言えないでしょうか? 目の前のカフェスペースで自分の作ったケーキをお客様に食べてもらうシーンには何度もドキドキさせられました。 ぜひ文庫本版の表紙の手触りにも注目してください。 それはまるでお菓子と相性抜群の上質なレースナプキンのようです。

6『満月珈琲店の星詠み』望月麻衣さん著

出版社 文藝春秋
出版日 2020年7月8日
ページ数 248ページ
読後の気分は? キラキラとしたドリンク、スイーツをうっとり眺めたい

満月の日、月々場所を変えて回転する満月珈琲店。
全ての客が夢を見ているのかと驚くマスターの姿。そう、店主は猫でした。

提供するメニューをマスターが選んでくれる不思議な珈琲店で、あなたの人生が拓けます。
星座や空をモチーフにしたメニューについうっとりしてしまいます。

東莉央(書店員)
『満月珈琲店』シリーズで紹介されている占いを、占星術と言うそうです。 天や星の動きを詠んで、まさに満月の夜にぴったりなひと時を過ごします。 そして満月珈琲店で提供されるドリンクやデザートのなんて美味しそうなこと。 星や宇宙が煌めくような満点の星空を表現したレシピに舌鼓を打つ思いです。

7『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵さん著

出版社 双葉社
出版日 2017年4月19日
ページ数 280ページ
読後の気分は? 世界を旅したくなる

小さな喫茶店、カフェ・ルーズ。
海外の不思議なレシピを振るう癒しの空間カフェ。
そこは名の通りルーズな営業コンセプトのお店でした。

ちょっと意外な組み合わせに驚きつつ、世界にはおいしいものがたくさんあると教えてくれるお店です。

東莉央(書店員)
カフェ・ルーズのようなお店が近所にもあったらいいのに、と思いながら読みました。 行きたい場所はたくさんあれど、全てを楽しむことができないからと写真をみたり、小説を読んだりするのが現代人でしょうか。 対して日常のほとんどを旅計画を練ることと、海外でおいしいものを食べることに費やすカフェの店主。 こんな自由な生き方もあるのだと、ハッとさせられました。 世界が広いように、読者の視界をきっと広くしてくれるでしょう。

8『土曜はカフェ・チボリで』内山純さん著

出版社 東京創元社
出版日 2016年5月29日
ページ数 316ページ
読後の気分は? もっとデンマークを知りたくなる

一風変わった喫茶店チボリは、初めて訪れる客を驚かせ続けています。
営業は土曜日だけ。なんと週1日です。
そして店主はとっても若い青年。実は高校生でした。

本場をつい想像してしまうようなおいしいデンマーク料理を提供してくれるカフェ。
毎週たくさんの謎とともに営業していきます。

東莉央(書店員)
一風変わった小さなお店で、謎解きが行われます。 お客さん達はデンマーク料理を堪能しながら身の上話を打ち明けます。 そこをそっと解決へ導いてくれるのも、青年マスターです。 デンマークのグルメを想像しながら、デンマークのお話に耳を傾けてください。 読み終わった頃にはデンマークが、人生で一度は訪れたい場所になっているはずです。

9『喫茶とまり木で待ち合わせ』沖田円さん著

出版社 実業之日本社
出版日 2022年9月15日
ページ数 288ページ
読後の気分は? 明日から頑張ろうと前向きな気持ちに

街の片隅にある小さなカフェでは、毎日たくさんの人が癒されています。
喫茶とまり木は、様々な思いを抱えて来店するお客さんたちへ癒しを提供してくれるお店でした。

少し休憩をして、元気をチャージしたり、新たな味方ができるようになる登場人物たち。
助けてもらったようにも、自分で問題を解決したようにも見えるその姿にとても勇気をもらうことができます。
心あたたまる連作短編です。

東莉央(書店員)
身体的な距離が全てではないと感じた家族。 もっと友達を信じるべきだと気がつく少年。 たのしい仕事に前向きになれた男性。 まさに鳥たちが羽休めをするための「とまり木」のように、登場人物たちを休ませ癒し、羽ばたかせてくれる素敵な場所です。

10『純喫茶パオーン』椰月美智子さん著

出版社 角川春樹事務所
出版日 2022年7月15日
ページ数 224ページ
読後の気分は? 本格ミルクセーキが飲みたくなる

舞台は創業「おおよそ」50年の純喫茶。
年をとっても喫茶店営業の腕はバッチリなおじいさんとおばあさんが店主です。

主人公はその店主の孫。
幼い頃からおじいちゃんとおばあちゃんのあたたかな喫茶店で過ごしたぼく。
そんな主人公は、世界をとてもあたたかな目線でみる大人へと成長していきます。

東莉央(書店員)
この本を読んでから私は、「純喫茶」をとてもよく意識するようになりました。 昔ながらのいいところを提供してくれるお店のあたたかさを知ることができたと思います。 『純喫茶パオーン』で登場するメニューたちは、私が想像する昭和のノスタルジーそのものでした。 ミルクセーキ、バナナジュース、ナポリタン。 読みながら、おじいさんとおばあさんのあたたかい手で作られたメニューたちのおいしさを想像することができます。 それはとてもほっとするおいしさなのでした。

11『今宵も喫茶ドードーのキッチンで』標野凪さん著

出版社 双葉社
出版日 2022年5月12日
ページ数 240ページ
読後の気分は? ひとりでカフェに行きたくなる

喫茶ドードーはおひとりさま専用のカフェです。

社会や人間関係から少し逃げる時間を与えてくれる喫茶ドードー。
やってくるお客さんたちは、自分を見つめ直すきっかけを与えられ元気になっていくようでした。
情報過多社会でのひとり時間の大切さを教えてくれるような、のんびりとした物語です。

東莉央(書店員)
おひとりさまに抵抗がある人はとても多いような気がします。 勇気が出なかったり、恥ずかしいことのような気がしたりして、ひとりでお店に入れない。 でも自宅でも、「おひとりさま」時間なんてほとんどないのではないでしょうか。 インターネットをみたり、チャットをしたり、ひとりでゆっくり何かをすることに恐怖を覚えてしまいがちです。 そんな時、おひとりさまはとても素敵なものなのだよ、と教えてくれるのが喫茶ドードー。 そして小説『今宵も喫茶ドードーのキッチンで』なのではないでしょうか。

12『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子さん著

出版社 宝島社
出版日 2021年9月9日
ページ数 221ページ
読後の気分は? すっかり和の心に

濃茶と薄茶、どちらがよろしいですか?

月曜定休のカフェ、マーブル・カフェはお休みの日に抹茶カフェを営業してみることにしました。
和菓子とお抹茶のこっくりと心に響く組み合わせ。
和風のティータイムは登場人物たちを日常から一時解放してくれます。
和の心に立ち戻り、むしろ現代では珍しくなった日本の茶室の雰囲気を堪能することができます。

東莉央(書店員)
1杯のお茶が人をこんなにも癒してくれるようです。 そしてやさしい気持ちになった人は、人にもまたやさしくなれるのだとリアルに教えてくれる短編集です。

13『虹の岬の喫茶店』森沢明夫さん著

出版社 幻冬社
出版日 2011年6月1日
ページ数 302ページ

父と娘の小さな家族。
悲しみを克服するために楽しいことをしようと前を向いたふたりは、虹探しの旅に出ます。

娘がコーヒーのだいすきなお父さんのために寄ってみたいと気になった、岬カフェ。
海の近くの岬にぽつんと立った優しさに包まれたカフェでした。
おいしい1杯のコーヒーと、人生に寄り添う選曲をしてくれるお店です。

カフェにやってくるお客さんたちの短編集です。
岬カフェにいるのは、人生のほんの一時の短い時間。
それぞれのお客さんがカフェに辿り着くまでにはときに時間もかかります。

東莉央(書店員)
来店してほっとする。 それだけではなくて、岬カフェにやってくるまでの道のりを含めてほっとするものに変えてくれるのがこのお店です。 この小説をバイクでふたり乗りする若者カップルのシーンに始めたい。 その小説の表紙イラストを描いてほしい。 その素敵な夢、実現します。

14『伝言猫がカフェにいます』標野凪さん著

出版社 PHP研究所
出版日 2022年11月10日
ページ数 256ページ
読後の気分は? 動物と心を通わせたくなる

もし、もう一度会いたい人からのこと付けを預かってくれる存在がいたとしたら。
その存在の言うことを信じて、伝言を受け取りたくなるのではないでしょうか。
その存在が、人間ではなかったとしてもです。

幻想的なやさしい空気をまとう、ファンタジー連作短編集です。

東莉央(書店員)
この世界とあの世界との間にあるような喫茶店。 もう会えないと思っていた人からの伝言をかわいい猫ちゃんが受け取ってくれたら、私ならその喫茶店にしょっちゅう通ってしまうような気がします。 そんな場所であるカフェ・ポン。 小説『伝言猫がカフェにいます』にて、出会うことができます。

15『純喫茶トルンカ』八木沢里志さん著

出版社 徳間書店
出版日 2022年6月8日
ページ数 320ページ
読後の気分は? 喫茶店で食器や内装をゆっくり眺めたい

扉を開けたら奇跡との出会い。

香ばしいコーヒーの香りに包まれて、純喫茶トルンカで時間を過ごしていく人々。
喫茶店の扉を叩いた時から、お客さんたちの軌跡への扉は約束されたも同然です。
不思議な奇跡は、登場人物たちと読者をあたためてくれる事でしょう。

2022年、新装版で発売されました。

新しいところへ勇気を出して飛び込んでみた時、なんだかちょっぴり違う自分に慣れたような気がしませんか。

東莉央(書店員)
街の小さな喫茶店も、新しいあなたを見つける手助けをしてくれるかもしれません。 昔ながらのスタイルのコーヒー器具やプリン、そして純喫茶トルンカ。 あなたにも奇跡をもたらしてくれるかもしれません。

16『恋愛の発酵と腐敗について』綿見映理子さん著

出版社 小学館
出版日 2022年2月14日
ページ数 208ページ
読後の気分は? お気に入りのお店を店主ごと愛したくなる

「万里絵」と「早苗」の2視点をベースに展開される小説『恋愛の発酵と腐敗について』。
常連さんに愛される喫茶店が舞台です。

店主の万里絵さんは、コーヒーを淹れるのに熱中するあまり、見慣れないお客さんの不可解な行動になかなか気がつかないようなちょっぴり天然肌の女性。
28歳の誕生日に紅茶の店マリエを開いた若き才能の店主と、近所のパン屋さんの店主のものがたりです。

東莉央(書店員)
喫茶店といえば、年配のマスターをイメージしてしまうのは私だけでしょうか。 若くして頭角を現した喫茶店の店主。 ものすごく高いプロ意識の持ち主かと思えば、時折見せるうっかりさんの顔。 年上の常連客たちが紅茶の店マリエを愛しく思う要素のひとつが、その店主の人柄ではないかと思うのです。

17『神様のケーキを頬張るまで』彩瀬まるさん著

出版社 光文社
出版日 2016年10月12日
ページ数 269ページ
読後の気分は? ほっこり癒しだけではないスパイス効いた小説に意外な気持ち

前を向いて明日を見つめる人物たちの連作短編集です。
どの物語にも自分を労るグルメが登場します。
今回紹介したいのは2つめの短編「七番目の神様」です。

イタリアンコンセプトのカフェアンドバー。
学生時代はコーヒーショップのアルバイトをしていた男性が店長を務めるお店です。
秋茄子とトマトのパスタに、アップルパイ。

季節のおいしさと、都心の煌びやかとがマッチしたお店です。

東莉央(書店員)
合コンで知り合った女性たちには、主人公が自信家で強気、経験豊富な店長さんのように見えます。 カフェの店長さんなんですね。どこのお店ですか? そんな会話をしながら、主人公の中では自信とも強気とも少し異なる感情が渦巻いていました。 女性たちと同じような印象を抱くであろう読者に、意外な思いをさせてくれる、ちょっぴり新しいカフェ小説です。

18『カフェかもめ亭』村山早紀さん著

出版社 ポプラ社
出版日 2011年1月5日
ページ数 352ページ

ファンタジーの香りがするカフェ短編集です。

かもめ亭を訪れたお客さんたちは、みな自分の身に起こった不思議なお話を聞かせてくれます。
不思議な話ができて、あたたかい涙を流すことのできる場所。
若き店主がとっておきのお茶を用意して出迎えてくれます。

書き下ろし中編を加えた文庫版です。

東莉央(書店員)
おとぎ話や魔法が、実在するかもしれない。 そんな気にさせてくれる、まるで夢を見ているような短編集です。 著者、村山早紀さんの人気作『コンビニたそがれ堂』のスピンオフともとれる『カフェかもめ亭』。 ぜひ併せて楽しんでみてはいかがでしょうか。

19『不思議カフェNEKOMIMI』村山早紀さん著

出版社 小学館
出版日 2023年1月25日
ページ数 296ページ
読後の気分は? おうちカフェを満喫

頭痛もちの主人公は、頭痛慣れしてしまうあまりに自分の体調の変化に気が付いていませんでした。
猫ちゃんたちと、植物たちを家族として大切に迎え入れる主人公。

彼女の人徳は、ランプの魔人との出会いを授けてくれました。
愛猫メロディーと、猫型ランプの魔人と、キャンピングカーで人々をしあわせにするための長い旅に出ます。

この小説は、主人公の女性がカフェを開店するまでにものすごく長い字長い時間がかかるお話です。
カフェで料理や飲み物を振る舞う時間も、従来のカフェ文学より短いと言えるでしょう。

東莉央(書店員)
ただしこの主人公の女性は、お家でゆったりおいしいものに囲まれるのがだいすきな人でした。 祖父母の営んでいた喫茶店がバイブルのよう。 ミルクティーをこっくり甘くおいしく淹れるのが得意技。 いわゆる「ていねいな暮らし」「おうちカフェ」を満喫して暮らしていました。 ぜひ、のんびりゆったりとした「おうちカフェ」にも注目してください。

20『本のない、絵本屋クッタラ』標野凪さん著

出版社 ポプラ社
出版日 2023年2月2日
ページ数 266ページ
読後の気分は? オーダーメイドに憧れる

オーダーメイドでお客さんのお探し物を提供するスタイルの絵本屋さん。

絵本屋の看板を見て本棚が並んでいる店舗をイメージして入店してくるお客さんばかりがやってきます。
驚くお客さんへ、コーヒーと季節野菜のスープを提供するのが絵本屋クッタラのスタイルでした。

あたたかい滋養のあるもので、人の心を溶かしてあげる。
主人公たちの包み込むような親切さに癒されます。

お客さんとのシーンよりも先に、スープを仕込むシーンに始まる小説。
お客さんをおもてなしするためにきちんと用意を詰んでいる主人公たちの姿勢をみることができます。

東莉央(書店員)
とても親切な人たち。 丁寧に食材のおいしさを引き出している人たち。 その主人公たち店主ふたりのあたたかさは、全てのお客さんへもしっかり伝わっているようです。 オーダーメイドとはお金がかかって、きっちりしたデパートのようなお店で注文するものでしょうか。 絵本屋クッタラはもっと和やかであたたかいお店です。

いかがでしたか?

カフェやコーヒーが舞台の小説は、やさしい気持ちにしてくれる小説が多いと思います。

寂しい時や、疲れた時、本を久しぶりに読む時などの参考にしてみていただけたらとても嬉しいです。

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azuma

関東圏の書店で勤務中。翻訳小説、純文学、5大文芸誌がだいすきです!話題作に負けない、自ら見つけた輝く小説をお勧めすることをモットーに働いています。