yumihara

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文学部出身の主婦です。文学の魅力が少しでも伝わるような、わかりやすい解説・感想を心がけていきたいです。

森鴎外『伊沢蘭軒』前作『渋江抽斎』との違いとは?

『伊沢蘭軒』の紹介 『伊沢蘭軒』(※読み:いざわらんけん)は、1916年(大正5年)6月から1917年(大正6年)9月にかけて、『東京日日新聞』『大阪毎日新聞』に連載された森鷗外の史伝小説です。 鷗外の史伝三部作と称される内の一つで、翻訳・評論なども含めた鷗外の全著作の中で、最長の作品となっています。 ここでは、そんな『伊沢蘭軒』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『伊沢蘭軒』-あらすじ 伊沢蘭軒は、江戸時代後期の医者・儒学者です。 江戸住みの備後福山藩医の家の長男として生まれ、後に父の後を継いで ...

森鴎外『寒山拾得』タイトルの意味から主題まで解説!

『寒山拾得』の紹介 『寒山拾得』(※読み:かんざんじっとく)は、1916年(大正5年)1月、『新小説』に発表された森鷗外の短編小説です。 中国、唐の時代の二人の僧・寒山と拾得の伝説が題材になった作品です。 次作『渋江抽斎』(1916年1月連載開始、同年5月完結)から、鷗外は史伝小説の道に進んだため、『寒山拾得』は鷗外最後の歴史小説ということになります。 ここでは、そんな『寒山拾得』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『寒山拾得』-あらすじ 唐の貞観の頃、台州の主簿として着任した閭丘胤は、国清寺に出 ...

森鴎外『山椒大夫』原典『さんせい大夫』との違いも!

『山椒大夫』の紹介 『山椒大夫』は、1915年(大正4年)1月、『中央公論』にて発表された森鷗外の短編小説です。 中世から近世にかけて、説経節や浄瑠璃などの形で語られてきた安寿と厨子王の伝説に基づく内容です。 ここでは、そんな『山椒大夫』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『山椒大夫』—あらすじ 14歳の姉・安寿と、12歳の弟・厨子王は、筑紫へ渡って行方不明になった父を探すため、母に連れられて旅をしていました。 道中、人買いに騙された親子は、海上で引き離され、別々の場所へ売られてしまいます。 丹後 ...

森鴎外『最後の一句』テーマから用語解説まで!

『最後の一句』の紹介 『最後の一句』は、1915年(大正4年)10月、『中央公論』に発表された森鷗外の短編小説です。 江戸時代後期の文人・太田南畝の『一話一言』を原拠として、鷗外による〈歴史離れ〉の脚色が加えられた作品として知られています。 ここでは、そんな『最後の一句』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『最後の一句』—あらすじ 元文三年、大阪で、船乗り業桂屋太郎兵衛を斬罪に処すとの達しがありました。 船主の太郎兵衛は、新七という男を船長に任じて運送業を営んでいましたが、新七の不正が原因で二年前 ...

森鴎外『文づかひ』鴎外がドイツで見た!上流階級の華やかな世界

『文づかひ』の紹介 『文づかひ』は1891年(明治24年)に発表された森鷗外の短編小説です。 森鷗外のドイツ三部作と呼ばれる内の最後の作品で、格調高い文語体が印象的です。 標題の「文づかひ」とは、「文使い」のことであり、手紙を届ける使いを意味する言葉です。 ここでは、そんな『文づかひ』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『文づかひ』—あらすじ 少年士官の小林は、星が丘茶寮で開かれた独逸会で、ドイツでのある体験を語り始めます。 ある時、ザクセン軍団について秋の演習に参加した小林は、同じ大隊に所属する ...

森鴎外『うたかたの記』日本画学生とドイツ人少女の悲恋物語

『うたかたの記』の紹介 『うたかたの記』は1890年(明治23年)に発表された森鷗外の短編小説です。 森鷗外のドイツ三部作と呼ばれる内の二作目であり、前作『舞姫』と同様に文語体で書かれています。 日本画学生の巨勢(こせ)と、ドイツ人の少女マリイの悲恋を描いた作品です。 ここでは、そんな『うたかたの記』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『うたかたの記』—あらすじ 巨勢は、六年前に出会った菫売りの少女が忘れられず、その少女をモデルにした画を描こうとしていました。 ある時、巨勢は友人と入ったカフェで、 ...

森鴎外『青年』モデルとなった夏目漱石との関係も解説!

『青年』の紹介 『青年』は、1910年(明治43年)3月から1911年(明治44年)8月まで文学誌「スバル」に連載された森鷗外の長編小説です。 夏目漱石の長編小説『三四郎』(1908年)に影響を受けて執筆されたとも言われています。 『三四郎』と同様、上京した一人の若者を主人公とする、青春小説です。 ここでは、そんな『青年』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『青年』—あらすじ 小泉純一は、小説家を志して上京した地方出身の青年です。 純一は、作家・大石路花を訪ねたり、作家・平田拊石の講演会に行ったり ...

森鷗外『雁』あらすじから作品構造の解説まで!

『雁』の紹介 『雁』は、1911年(明治44年)9月から1913年(大正2年)5月まで文学誌「スバル」に連載された森鷗外の長編小説です。 1915年(大正4年)に単行本として刊行されています。 明治23年、有名な『舞姫』を発表した鷗外ですが、明治24年以降、その文筆活動は休止に近い状況にありました。 明治42年以降、鷗外は旺盛な文筆活動を再開しますが、この活動期—所謂、鷗外の〈豊熟の時代〉—の代表作の一つと評される作品が『雁』です。 ここでは、そんな『雁』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『雁』 ...

夏目漱石の生涯&作品解説 ~生い立ちから晩年まで~

漱石は、1905年(明治38年)38歳で作家デビューし、1916年(大正5年)49歳の時に胃潰瘍に伴う体内出血のため、その生涯を終えました。ここでは、そんな漱石の主だった作品に注目し、文豪・夏目漱石の生涯や、作品論について考察を進めていきたいと思います。

『舞姫』主人公のモデルは誰か?ドイツ三部作ができるまでの年表も!

『舞姫』は1890年(明治23年)に発表された森鷗外の短編小説です。文語体で書かれた鷗外初期の代表作で、現代でも国語の定番教材として広く知られています。ここでは、そんな『舞姫』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。