キノウコヨミ

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早稲田大学 文化構想学部 文芸・ジャーナリズム専攻 卒業。 主に近現代の純文学・現代詩が好きです。好きな作家は、太宰治・岡本かの子・中原中也・吉本ばなな・山田詠美・伊藤比呂美・川上未映子・金原ひとみ・宇佐美りんなど。 読者の方に、何か1つでも驚きや発見を与えられるような記事を提供していきたいと思います。

林芙美子『清貧の書』実話に基づいた物語!「流浪の性」とは何か?

『清貧の書』紹介 『清貧の書』は林芙美子の短編小説で、1931年11月『改造』に掲載されました。 本作は、元夫の暴力から逃れ、三人目の夫と貧しい新婚生活をはじめた主人公・加奈代の侘しさが、徐々に夫への信頼と安心に変わっていくまでの道のりが描かれています。 作中の与一は芙美子の内縁の夫・手塚緑敏がモデルになっており、本作は実話に基づいたフィクションとされています。 ここでは、『清貧の書』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『清貧の書』あらすじ 加奈代は打擲をくりかえす二人目の夫と離縁した後、平凡で誇 ...

大江健三郎『芽むしり仔撃ち』「僕」が村を追われた理由とは?

『芽むしり仔撃ち』紹介 『芽むしり仔撃ち』は大江健三郎著の長編小説で、1958年に講談社から刊行されました。 本作は、太平洋戦争末期、集団疎開した感化院の少年たちが疫病の蔓延する村に取り残され、自分たちの“自由の王国”を築こうと試みる姿と、その連帯の崩壊を描いた作品です。 著者初の長編小説であり、初期の大江文学の代表作として挙げられることも多い一作です。 ここでは、『芽むしり仔撃ち』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『芽むしり仔撃ち』あらすじ 太平洋戦争末期、「僕」を含む感化院の少年たち、そして ...

大江健三郎『われらの時代』著者が描きたかったものとは?

『われらの時代』紹介 『われらの時代』は大江健三郎著の小説で、1959年7月、中央公論社より書き下ろしで刊行されました。 本作は、著者の作家デビューの翌年に、2作目の長編小説として執筆されました。 著者本人が「ぼくはこの小説から、反・牧歌的な現実生活の作家になることを望んだのだった」と語るように、性や暴力的な思想を克明に描き出す大江健三郎の新たな作風を見出した作品です。 ここでは、『われらの時代』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『われらの時代』あらすじ 南靖男は情人の頼子と自堕落な生活を送るな ...

大江健三郎『万延元年のフットボール』蜜三郎の「痛み」と「期待」とは?

『万延元年のフットボール』紹介 『万延元年のフットボール』は大江健三郎著の小説で、1967年1月号から7月号にかけて『群像』に連載されました。 本作は、幕末期の1860年とそのちょうど100年後であり学生運動が激化していた1960年、時代の転換点となった2つの象徴的な元号をモチーフとし、谷間の村で巻き起こる暴動をめぐる兄弟の対立を描いた物語です。 著者の作風の転換点ともいわれる作品であり、ノーベル文学賞の受賞理由において代表作としてその名が挙げられています。 ここでは、『万延元年のフットボール』のあらすじ ...

岡本かの子『母子叙情』ラストシーンの意味とは?

『母子叙情』紹介 『母子叙情』は岡本かの子著の小説で、1937年3月『文学界』に掲載されました。 本作は、著者・岡本かの子の出世作ともいわれている作品です。 主人公・かの女は岡本かの子自身、その家族は岡本家がモデルとなっており、実話に基づいた創作となっています。 パリに留学中の息子への悶えるほどの恋しさ、一郎に後ろ姿の似た青年へ抱いてしまった愛情などをめぐって、主人公の心の揺れ動きが繊細に描写された作品です。 ここでは、『母子叙情』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『母子叙情』あらすじ 一家で渡 ...

岡本かの子『老妓抄』老妓の「悲しみ」とは何か?

『老妓抄』紹介 『老妓抄』は岡本かの子著の短編小説で、1938年『中央公論』11月号に掲載されました。 本作は、発明家を志す青年・柚木との奇妙な関係性を通じて、老妓の悲しみと魂の美しさを描きだした作品です。 作品の最後に添えられた「年々にわが悲しみは深くして/いよよ華やぐいのちなりけり」という短歌が有名で、この和歌それ自体も著者の代表作として名高いものとなっています。 ここでは、『老妓抄』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。 『老妓抄』あらすじ 憂鬱をたたえつつも快活さにあふれた老妓・小そのは、長年 ...

岡本かの子『鮨』本作で描かれた愛情とは?

『鮨』紹介 『鮨』は岡本かの子著の短編小説で、1939年1月、『文芸』に掲載されました。 本作は、著者の死の前月に発表された最晩年の作品であり、彼女の代表作の一つにもなっています。 極度の潔癖から生きづらさを抱えた少年が母の愛によって救われるさまを、丁寧な情景描写と流れるような筆致で描いた作品です。 ここでは、『鮨』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『鮨』あらすじ 福ずしの看板娘·ともよは、五十過ぎぐらいの常連客·湊に好意を寄せています。 ある日、ともよは表通りで偶然湊を見かけ、声をかけました。 ...

太宰治『走れメロス』メロスの人物像からディオニスの改心の意味まで!

『走れメロス』紹介 『走れメロス』は太宰治著の短編小説で、1940年『新潮』5月号に掲載されました。 本作は国語の教科書に採用されていることから、太宰の著書の中でもっとも知名度の高い作品のひとつといえます。 人質となった友人の信頼に報いるため、命がけで処刑場への帰還をめざす実直で勇敢な男、メロスの姿を描いた、著者の作品群では異色ともいうべき爽やかさを感じさせる作品です。 ここでは、『走れメロス』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『走れメロス』あらすじ メロスは、妹の結婚式の買い出しに訪れたシクラ ...

太宰治『新ハムレット』ラストシーンの台詞の真意とは?

『新ハムレット』紹介 『新ハムレット』は太宰治著の小説で、1941年、著者にとって初の書き下ろし長編小説として文藝春秋社より刊行されました。 本作は題名の通り、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』を原案として創作された戯曲風のパロディ小説です。 「はしがき」の中で著者自ら、本作は「註釈書でもなし、または、新解釈の書でも決してない」「作者の勝手な、創造の遊戯に過ぎない」と言及しており、実際に物語の展開については原作とかけ離れた部分が多々見られます。 ここでは、『新ハムレット』のあらすじ·解説·感想までをまとめ ...

太宰治『乞食学生』数々の詩や戯曲からの引用の意味とは?

『乞食学生』紹介 『乞食学生』は太宰治著の小説で、1940年7月号~12月号にかけて雑誌『若草』に連載されました。 本作は、職業作家としての苦悩を抱えた男が二人の学生との出会いを通じて、過ぎ去った青春の気分を取り戻す物語です。 主人公は、太宰というペンネームであるほか著者自身との類似点が多いものの、本名は創作されていたり、いわゆる夢オチの結末であったり、フィクションとしての要素も多く見られます。 ここでは、『乞食学生』のあらすじ·解説·感想までをまとめました。 『乞食学生』あらすじ 気力もなく土手を歩いて ...