みやこ

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月に10冊ほどのペースで、かれこれ半世紀以上さまざまな本を読んできました。どんなジャンル、作家の本であっても、食わず嫌いはせずに一度は読んでみるようにしています。還暦を目の前にした今でも、日ごと新しい面白い本に出会えるのを楽しみに過ごせることがありがたいです。好きな作家は、福永武彦、吉川英治、池波正太郎、清水義範、宇佐見りん。「自分が読みたい文章を書く」ことを念頭に記事を執筆しています。

泉鏡花『活人形』泉鏡花の二作目!読者を惹きつける探偵小説

『活人形』の紹介 『活人形』は、明治26年(1893年)に春陽堂から発行された泉鏡花の中短編小説です。 鏡花の2作目の商業作品であり、ジャンルは「推理小説(探偵小説)」です。 日本最初の推理小説は、黒岩涙香の『無惨』(明治22年(1889年)発表)と言われており、こちらも探偵を主役とした「探偵小説」でした。 涙香はそれまでにも、海外の推理小説を翻案した作品を何作か発表しており、『活人形』は、それらの作品に触発されたものと考えることができます。 この記事では『活人形』のあらすじ、解説、感想を紹介します。 『 ...

『辰巳巷談』あらすじを紹介!三人の遊郭の女とは?

『辰巳巷談』は、明治32年(1899年)に雑誌『新小説』に発表された泉鏡花の短編小説です。鏡花も所属していた硯友社の文化人たちが好んだという洲崎の遊郭にいた花魁の悲恋を描いた作品で、鏡花らしい情念に満ちた作品です。

『眉かくしの霊』あらすじを簡単に紹介!ドッペルゲンガーをテーマにした小説

ここでは、そんな『眉かくしの霊』のあらすじ・解説・感想をまとめました。大正時代に流行した「分身」や「自己像幻視(ドッペルゲンガー)」をテーマにした小説のひとつで、鏡花の幻想文学の代表作となりました。同様のテーマで書かれた小説には、佐藤春夫『田園の憂鬱』(1919年)、梶井基次郎『Kの昇天──或はKの溺死』(1926年)などがあります。

泉鏡花『化銀杏』あらすじ&解説!化銀杏の意味から三つの「執着」まで

『化銀杏』は、明治29年(1896年)に『文藝倶楽部』に発表された泉鏡花の短編小説です。「観念小説」からの過渡期の作品でもあります。ここではそんな『化銀杏』について、あらすじから化銀杏の意味までを解説します。

『冠弥左衛門』あらすじ&解説!作中に描かれる三つの勧善懲悪とは?

『冠弥左衛門』は、明治25年(1892年)10月から42回にわたって『京都日出新聞』に連載された泉鏡花のデビュー作です。最初は「泉鏡花」という筆名を使っておらず、本名の「泉鏡太郎」名義で発表されました。発表時は賛否両論があり、ひどくこき下ろすような論評もあった作品です。ここではそんな『冠弥左衛門』のあらすじ・解説・感想をまとめました。

泉鏡花『琵琶伝』あらすじから作品のテーマまで!

『琵琶伝』は、明治29年(1896年)、雑誌『国民之友』に発表された泉鏡花の短編小説です。日清戦争に徴兵された男と引き離された女との悲恋物語で、明治時代の「許婚」という習慣に対するアンチテーゼとしての「恋愛」がテーマになっています。ここではそんな『琵琶伝』のあらすじ・解説・感想をまとめました。

泉鏡花『金時計』あらすじ&作品解説!三郎の気持ちからビジュアルの麗しさまで

泉鏡花『金時計』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。『金時計』は、泉鏡花の手による短編小説で、明治26年(1893年)に尾崎紅葉『侠黒兒』の附録として発表されました。鏡花は紅葉のもとで書生生活をしており、よく引き立ててもらっていました。鏡花の小説のうちでは数少ない、子ども向けの作品です。

『義血侠血』あらすじ&観念小説としての『義血侠血』を解説!

泉鏡花『義血侠血』のあらすじ・解説・感想をまとめました。『義血侠血』は、泉鏡花が明治27年(1894年)に「讀賣新聞」で連載、発表した中編小説で、「観念小説」の代表作のひとつです。現実社会に対して作者が抱いている不審や不満といった問題点を主題とした作品が「観念小説」で、鏡花の初期作品では、この『義血侠血』のほかに『外科室』などが「観念小説」に分類されます。

泉鏡花『夜行巡査』あらすじ&解説!観念小説の意味からラストまで!

『夜行巡査』のあらすじ・解説記事です。泉鏡花の作品では、『夜行巡査』のほか『外科室』が観念小説の代表作として知られています。観念小説は明治20年代末期、具体的には日清戦争(1894~1895)直後に流行したジャンルで、現実の社会に対して、作者が「観念」として抱いている問題点や疑問点を主題とする作品を指します。